テレアポでOTセキュリティを提案する方法|製造業の工場向けトーク設計と事例

工場のサイバーセキュリティ、いわゆるOTセキュリティのテレアポは、まだまだブルーオーシャンだ。ITセキュリティの営業電話は多いが、工場の制御システムを守る話をしてくる営業はほとんどいない。

だからこそ、正しい切り口で攻めれば高いアポ率が期待できる。今回は、製造業の工場向けにOTセキュリティをテレアポで提案する方法を見ていこう。

OTセキュリティとは何か

まず前提を整理しておく。

**OT(Operational Technology)**とは、工場の生産ラインやプラントの制御システムを動かすための技術のこと。具体的にはPLC、SCADA、DCSといった設備だ。

これらのシステムがサイバー攻撃を受けると、生産ラインが丸ごと止まる。ITシステムのハッキングとは被害の桁が違う。

最近の被害事例

  • 2022年:某大手自動車メーカーの関連会社がランサムウェア被害 → 本体の全工場が操業停止
  • 2023年:某大手港湾のシステムがランサムウェア被害 → 物流が数日間マヒ
  • 過去12カ月でOTセキュリティインシデントに遭った企業は46%

この数字を知ると、「うちは大丈夫」とは言えなくなる。

なぜOTセキュリティのテレアポは成功しやすいのか

いくつかの理由がある。

  1. 競合が少ない: ITセキュリティの営業は多いが、OT特化の営業は少ない
  2. 実際の被害事例が増えている: 「他社がやられた」という事実は強力なフック
  3. 経営リスクとして認識され始めている: 特に上場企業はガバナンスの観点で対策が必要
  4. IoT化・DX化が進んでいる: 工場のネットワーク接続が増え、リスクが顕在化

受付突破のトーク設計

OTセキュリティの受付突破は、**「営業ではなく情報提供」**の姿勢が重要だ。

受付トーク例

「御社工場で使われている制御システムのセキュリティ管理をされている製造部門のご担当者様はいらっしゃいますでしょうか」

ポイントは以下の通り。

  1. 「制御システムのセキュリティ」と具体的に言う: 漠然と「セキュリティ」だと情報システム部に回される
  2. 「製造部門」を指定する: OTセキュリティはIT部門ではなく製造部門の管轄であることが多い
  3. 上場企業であることを活用する: 「東証プライム上場の某社」と名乗ると受付の対応が変わる

用件を聞かれた場合

「国内大手製造メーカー様の約半数の工場でご利用いただいているOTセキュリティ対策の情報提供です」

**「大手の半数」**という数字は強烈だ。「そんなに使われているなら聞いておいたほうがいいかも」という心理が働く。

担当者トークの設計

ステップ1:危機感を醸成する

「特に今年に入って、〇〇業の工場やプラントの制御システムを狙ったサイバー攻撃が非常に増えておりまして」

恐怖訴求は使い方を間違えると逆効果だが、OTセキュリティの場合は事実ベースで語れるので説得力がある。

ステップ2:現状確認のヒアリング

「御社の工場では、設備のIoT化やデバイスのクラウド接続は進めていらっしゃいますか?」

この質問で相手のリスクレベルを測る。IoT化が進んでいるほどリスクが高い。

ステップ3:相手の不安に寄り添う

「クラウド型はセキュリティリスクが高いので、必要だけど入れられないというお声も多くいただいています」

**「分かってるけどできない」**という気持ちに共感すると、担当者の態度が変わる。

ステップ4:情報提供としてのアポ打診

「すぐに何かを導入していただく話ではなくて、国内外の大手プラントでどんな攻撃を受けて、実際にどんな被害があったのか、どうやって対策しているかなど、表に出づらい情報を提供できればと思います」

**「表に出づらい情報」**は最強のフックだ。セキュリティインシデントの詳細は公開情報として出回らないことが多いので、「聞いておきたい」という欲求を刺激できる。

業種別のフック

自動車関連

「某大手自動車メーカーの関連会社がランサムウェア被害を受けて、本体の全工場が操業停止した事例はご存知ですか?サプライチェーン全体が狙われています」

食品メーカー

「食品工場の制御システムが攻撃されると、生産ラインの停止だけでなく品質管理にも影響が出ます。賞味期限管理のシステムが改ざんされた事例もあります」

化学・素材メーカー

「プラントの制御システムが乗っ取られると、温度や圧力の制御が効かなくなり、安全面のリスクが桁違いです」

インフラ(電力・ガス・水道)

「インフラ企業は国家レベルのサイバー攻撃の対象になり得ます。欧米では水道施設の制御システムが攻撃された事例もあります」

IT部門に回されたときの対処

OTセキュリティのテレアポでよくあるのが、IT部門(情報システム部)に回されてしまうパターンだ。

IT部門に回されたら、以下のように対応する。

「ありがとうございます。ただ、今回のお話はITネットワークではなく、工場の制御システム(PLCやSCADA)のセキュリティですので、製造部門の方と一緒にお話を聞いていただけると、より具体的な議論ができるかと思います」

ITセキュリティとOTセキュリティの違いを明確にすることで、正しい担当者につないでもらう

よくある断り文句

「うちは規模が小さいから狙われない」

→ 「サプライチェーン攻撃では、最終的な標的の取引先として中小企業が狙われるケースが急増しています。企業規模に関係なくリスクがあります」

「IT部門でセキュリティ対策はやっている」

→ 「ITセキュリティとOTセキュリティは全く異なる領域です。ITは機密性重視ですが、OTは安全性と可用性が最優先。対策のアプローチも違います」

「予算がない」

→ 「まずは現状のリスク評価だけでもやっておくと、経営層への説明材料になります。無料のアセスメントから始められます」

まとめ:OTセキュリティは「事実」と「恐怖」で攻める

OTセキュリティのテレアポで成果を出すポイントをまとめる。

  1. 「制御システムのセキュリティ」と具体的に言い、製造部門につなぐ
  2. 実際のサイバー攻撃事例を使って危機感を醸成する
  3. 「表に出づらい情報の提供」をフックにする
  4. IoT化・DX化の進捗に合わせてリスクレベルを判定する
  5. ITセキュリティとの違いを明確にして正しい担当者に繋ぐ

工場のサイバーセキュリティは、これから確実に市場が拡大する領域だ。テレアポで早めにアプローチしておくことが、先行者利益につながる。

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