建設業M&A・事業承継テレアポの攻略法|社長に直接つなぐトーク設計
建設業・土木業の社長にテレアポでM&Aや事業承継の話をする。これは、テレアポの中でも最もデリケートな案件の一つだ。「会社を売れ」と言われたと感じた瞬間、電話は切られる。
しかし、建設業界では後継者不足や人手不足が深刻化しており、水面下で事業譲渡や合併が進んでいるのも事実。正しいアプローチをすれば、社長自身が「一度話を聞いてみたい」と思ってくれることは十分にある。今回は、建設業M&A・事業承継テレアポの実践的なトーク設計を見ていこう。
受付突破:銀行提携の看板が最強
M&Aテレアポの受付突破で最も効果的なのが、提携銀行の名前を使うことだ。
「〇〇銀行と提携しております〇〇の田中と申します。社長はいらっしゃいますでしょうか」
建設業の社長にとって、メインバンクの名前は特別だ。銀行からの紹介だと思って電話に出てくれるケースが多い。
用件を聞かれた場合:
「経営の件でございまして、社長様か株主の方にしか話せない内容ですので、いらっしゃったらお取次ぎいただきたいのですが」
「社長にしか話せない」「株主にしか話せない」と言われると、受付の人は自分の判断で断りにくくなる。重要な話かもしれないと思って取り次いでくれる確率が上がる。
社長への切り出し:「会社を売れ」とは言わない
社長につながったら、最初の30秒が勝負だ。ここで「M&A」「事業承継」という言葉をいきなり出すのは危険。
「御社地域で地域の公共事業を中心に展開しているデベロッパーさんと提携している弊社の顧客企業様と、建設業様の戦略的な提携をさせていただいておりまして、弊社のお取引先様で御社に興味を持たれている企業様がいらっしゃるんですね」
ポイントは「戦略的な提携」という表現。「買収」でも「売却」でもなく、「提携」と言うことで、社長の警戒心を下げる。
さらに重要なのが、次のフレーズ:
「ただ誤解しないでいただきたいのは、今すぐ事業承継をしましょうといった話では全くなくて。こういった話は非常にセンシティブですので、まずは御社地域の統合・再編の状況や、御社に興味を持たれている企業、御社の企業価値等の情報提供で30分お時間いただきたいんです」
「今すぐではない」「情報提供」「30分」――この3点セットで、社長の心理的ハードルを下げる。
アポ取得後の超重要ヒアリング
アポが取れたら、必ず以下の確認を行う。ここを省略すると、訪問しても無駄足になる。
「社長、1つ確認なのですが、せっかくお邪魔しますので、M&Aの話はしっかりさせていただこうと思うんですね。すぐすぐにはないと思いますが、経営戦略の一環として、資本提携やM&Aのお話をお考えになったことはありますか?」
「考えたことがある」場合
そのままアポ確定。理由を深掘りする。
- 後継者問題(いない、任せられるか不安)
- 慢性的な人手不足
- 採用がうまくいっていない
- 売上減少・先行き不安
- 資金繰りの問題
「理由はやはり後継者の問題ですか? それとも人手不足や先行きの不安でしょうか?」
「考えたことがない」場合
ここが分かれ道だ。
「こういった話は一度も聞いたことないですか? お邪魔する中で、可能性が完全に0%だとつらいのですが(笑)。是々非々として、今後の経営戦略の可能性として1%でも可能性があればお話を聞いていただきたいのですが、いかがですか?」
この「1%でも可能性があれば」という聞き方は絶妙だ。「0%」と言い切れる社長はほとんどいない。「まあ、話くらいは聞いてもいいか」と思ってもらえることが多い。
**ただし、ここで「完全にない」と言われたら、アポは入れない。**無理に訪問しても成約にはつながらない。代わりにメールでの情報提供に切り替える。
「かしこまりました。一度担当からご挨拶含めてメールさせていただきますので、メールアドレスをお聞かせいただけますでしょうか」
「会社は売らない!」への切り返し
M&Aテレアポで最も多い断り文句が「会社は売らない」だ。ここに用意する切り返しは2パターン。
パターン1:社長の立場を尊重する
「会社を手放すという意味ではなくて、社長はそのまま代表でいていただきます。社長は会社にとってスーパーマンですから、まずは経営の負担を減らしていただいて、退職金を得る意味も含めて、ご引退まで現役でいていただくというお話なんです」
「売却」ではなく「経営負担の軽減」「退職金」という切り口に変える。社長のプライドを傷つけない言い方が重要だ。
パターン2:企業価値の可視化
「売るとか買うとかの話の前に、社長が何年もかけてやってきたお仕事の客観的な価値は知っておいて損はないと思うんですよ。会社もいつかは、とお考えになったことはあるかと思いますので、退職金代わりとしてもどのくらいになるのかは是非お聞きいただきたいです」
「企業価値を知る」ということ自体に価値がある、という提案。「知っておいて損はない」というフレーズは、社長が断りにくい言い方だ。
建設業特有のフック:業界再編の動き
建設業界では、地域の中小企業同士の合併・統合が加速している。この業界動向をフックに使える。
「最近、御社地域で建設業者の吸収・合併が水面下で進みつつありまして、御社の技術に興味を持たれている弊社のお取引先様がいらっしゃいます」
「御社の技術に興味を持たれている」という表現は、社長のプライドをくすぐる。「うちの技術を評価してくれている会社があるのか」と思ってもらえれば、話を聞く気になる。
建設業M&Aテレアポの成功率を上げるポイント
- 訪問を基本にする: M&Aの話はオンラインより対面の方が信頼を得やすい
- 住所を確認する: 「ご住所って〇〇でお間違いないですか?」と確認して訪問の流れを作る
- 中小企業庁の認定機関であることを伝える: 公的な立場があることで安心感を与える
- 近い日程を提案する: 「来週の〇日か〇日で」と早めの日程を出す
まとめ
建設業M&A・事業承継のテレアポは、社長の警戒心を解くことがすべてだ。銀行提携の看板で受付を突破し、「戦略的な提携」「情報提供」という柔らかい表現でアプローチする。そして「1%でも可能性があれば」という確認で、本気度をフィルタリングする。デリケートな案件だからこそ、トークの一言一言が成果を左右する。
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