採用支援サービスのテレアポ——業界別トーク切り替えとRPO提案の極意

採用支援テレアポの現実:「また人材系か」の壁

RPO(採用代行)や採用支援サービスのテレアポは、ある意味で最激戦区だ。企業の人事部には、毎日3〜5件は人材系の営業電話がかかってくる。受付も慣れたもので、「採用の件で」と言った瞬間に「間に合っています」と返される。

ところが、某採用支援企業のテレアポチームは、この激戦区で安定してアポ率2〜3%を叩き出している。秘密は20種類以上の業界別トークスクリプトと、いくつかの巧みなフレーミング技術にある。

今回は、実際の現場で使われているRPO提案のテレアポテクニックを分解していこう。

受付突破:「大手グループ」の看板を借りる

RPO系テレアポの受付突破で、ある企業が使っていたのがこのトークだ。

「某大手商社グループのA社と申します。御社の中途採用の人材確保の件でご連絡いたしました」

ポイントは冒頭の**「某大手商社グループの」**という一言。自社名だけでは「知らない会社だな」で終わるところを、誰もが知っているグループ名を出すことで、受付の判断が「断ってもいい電話」から「取り次いだほうがいいかもしれない電話」に変わる。

これは権威性を活用したアプローチの一種で、グループ企業や資本関係がある場合に使える。もちろん事実に基づいていることが大前提だ。虚偽の所属を名乗れば信頼を一瞬で失う。

もうひとつ効いているのが、「中途採用の人材確保の件」という曖昧さだ。「人材紹介です」「求人広告の営業です」と具体的に言わないことで、受付が自己判断で断りにくくなる。

「アドテクノロジー採用」——聞き慣れないワードで興味を引く

担当者に繋がったあと、最初の15秒で興味を引けるかが勝負だ。某採用支援企業が使っていたフレーズが面白い。

「今、弊社で推進しておりますアドテクノロジーを活用した採用手法の件でお電話しております」

「アドテクノロジー採用」と聞いて、「ああ、あれね」とすぐ分かる人事担当者はまだ少ない。実際、現場でも**「聞いたことないなって正直思う方が多くて」**という反応がほとんどだそうだ。

これが狙いだ。「知らない」ということは、「聞いてみたい」に変わる可能性がある。逆に「リクナビの代理店です」と言えば、人事担当者は瞬時に「要る/要らない」の判断ができてしまう。判断できない=話を聞く理由ができるという構造だ。

Web広告のリターゲティング技術を採用に応用する手法は実際に存在するが、テレアポの段階では詳しく説明する必要はない。「ちょっと気になるな」と思わせるだけで十分だ。

業界別トーク20パターンの設計思想

RPO系テレアポで最も差がつくのが、業界別のトークバリエーションだ。某採用支援企業では、製造業、小売、ホテル・旅館、物流、介護・看護、飲食、建設、ITなど20業種以上のスクリプトを用意していた。

なぜここまで細かく分けるのか。理由は単純で、業界ごとに採用課題がまったく違うからだ。

業界主な採用課題刺さるフレーズ例
製造業若手の工場勤務離れ「技術職の応募が減っていませんか」
ホテル・旅館インバウンド回復で人手不足「稼働率は戻ったのに人が足りないという声を多く聞きます」
物流2024年問題以降のドライバー不足「ドライバー採用のコスト、上がっていませんか」
介護・看護慢性的な離職率の高さ「採用しても半年で辞めてしまう問題、何か対策されていますか」
小売パート・アルバイトの確保「時給を上げても応募が来ないという相談が増えています」

1本の汎用トークで全業種に電話するのと、業種ごとに課題を特定して話すのでは、担当者の反応が明らかに違う。架電リストを業種別にソートして、同じ業種を連続で架電するのが効率的だ。リストの並び替えだけで架電の質が変わる。

「今のやり方を変えろとは言いません」——最強のリポジショニング

RPOのテレアポで最大の壁は、**「うちはもうリクナビ(マイナビ/Indeed)を使っているから」**という断り文句だ。既存の採用手法に満足しているわけではなくても、「切り替え」と聞くと面倒くさいと感じる。

ここで使うのがリポジショニングだ。

「今ご利用されている媒体を変えてくださいとか、やめてくださいというお話ではございません。あくまでも今の採用手法にプラスアルファで母集団を増やすご提案です」

このフレーズの威力は採用担当者へのアプローチでも触れたが、RPOの文脈ではさらに効く。なぜなら、RPOは既存の採用活動を「代行・支援」するサービスなので、本当にプラスアルファの提案だからだ。嘘にならない。

人事担当者は新しいことを始めるより、今やっていることを維持するほうが楽だと感じている。だからこそ、「変えなくていい」という一言で心理的なハードルがぐっと下がる。

「営業」ではなく「情報提供」にフレーミングする

テレアポの鉄則として、「売り込み」と「情報提供」では相手の受け取り方がまったく異なる。RPOのテレアポでも、この原則は強力に機能する。

「御社と同じ業界の企業様が、今どういった採用手法で人材を確保されているかという他社事例と、競合他社さんの応募者が御社の採用ページに流れてくる仕組みについて、情報としてお伝えできればと思っています」

ここには2つの仕掛けがある。

1つ目は「他社事例」。人事担当者は、同業他社の採用動向に常にアンテナを張っている。「同業他社がどうやっているか」は、それだけで聞く価値のある情報だ。

**2つ目は「競合の応募者が御社に流れてくる」**という具体的なベネフィット。これはアドテクノロジーを使ったリターゲティング広告の仕組みだが、テレアポの段階では詳細を説明するより、この一文で「え、どういうこと?」と思わせるほうが効果的だ。

「情報収集の一環としてお時間いただけませんか」と言われれば、断る理由がかなり減る。「売り込み」と分かっていても、「情報提供」という名目があるだけで、担当者が上司に「会う理由」を説明しやすくなるのだ。

クロージング:複数の選択肢を用意する

RPOテレアポのクロージングでは、ハードルの異なる複数の選択肢を用意しておくのが効果的だ。

パターン1: オンライン短時間

「20〜30分ほどのオンラインで、他社事例をお見せしながらご説明できればと思うのですが」

パターン2: 訪問挨拶

「お近くですので、ご挨拶も兼ねて一度お伺いできればと思います」

パターン3: 資料送付 → フォロー

「まずは簡単な資料だけお送りして、ご覧いただいた上で改めてお電話させていただいても」

最初にパターン1を提示して断られたら、パターン3に下げる。「オンラインでも難しい」と言われたら「じゃあ資料だけでも」と、段階的にハードルを下げていく。ゼロで終わるより、資料送付という名目でメールアドレスを取れるだけでも次につながる。

クロージングのテクニックでも詳しく解説しているが、「二者択一」より「三段階」のほうが、最終的なアポ獲得率は高い傾向がある。

業界別トーク管理の実務

20種類以上のトークスクリプトを運用するには、管理の仕組みが必要だ。紙やExcelで管理していると、「あのトーク、どこだっけ」と架電中に探す羽目になる。

実際にうまく回しているチームは、以下のような仕組みを作っている。

  • 架電リストに業種タグを付けて、業種ごとにフィルタリングして架電する
  • **トークスクリプトは業種コード(製造=M、物流=L、介護=Cなど)**で管理し、リスト画面からすぐ参照できるようにする
  • 週1回のスクリプト改善MTGで、業種ごとの成功トーク・失敗トークを共有する

20パターンを最初から完璧に作る必要はない。まず5業種くらいから始めて、架電しながら磨いていけばいい。重要なのは、汎用トーク1本で全業種に電話しないことだ。

まとめ

RPO・採用支援サービスのテレアポで成果を出すポイントは4つ。

  1. 大手グループの権威性を借りる——受付突破率が変わる。ただし事実ベースで
  2. 業界別トークを用意する——最低でも主要5業種は個別スクリプトを持つ
  3. 「変えなくていい」のリポジショニング——既存手法を否定せず、プラスアルファで提案する
  4. 「営業」ではなく「情報提供」——他社事例と具体的ベネフィットで聞く理由を作る

「アドテクノロジー採用」のような聞き慣れないワードで興味を引き、「情報収集の機会として」と名目を整える。テレアポは結局、相手に「話を聞いてもいい理由」をいかに作るかの勝負だ。

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