EC事業者へのテレアポ——AIパーソナライズを「事例共有」で売る方法
EC向けテレアポは「技術の翻訳力」が問われる
ECサイト運営者にAIツールを売り込むテレアポは、一般的なBtoBテレアポとは少し毛色が違う。相手はITリテラシーが高い人が多く、表面的な営業トークでは一瞬で見破られる。
一方で、技術的に正確な説明をしすぎると、今度は「で、うちに何のメリットがあるの?」と返される。技術をビジネスメリットに翻訳する力が必要だ。
今回は、EC向けAIレコメンドツールのテレアポトークを解剖して、技術系サービスを売るときのトーク設計を考えていく。
展示会リードへの架電:「覚えていますか?」の使い方
EC・マーケティング系のツールベンダーは、展示会で名刺を集めてからテレアポするケースが多い。その際の第一声がこれ。
「先月のITトレンドEXPOにご参加いただきましてありがとうございました。少し弊社の名前やサービス名、ご記憶にありますでしょうか?(笑)」
最後に「(笑)」がついているのがミソ。展示会で数十社のブースを回った人が、いちいち覚えているわけがない。それをお互いにわかっている前提で軽く聞くことで、「覚えてないです(笑)」と返しやすくなる。
この「覚えていない」を想定した切り返しも用意されている。
「いつも数百社以上参加企業がありますので、全然大丈夫です(笑)」
相手を恥ずかしがらせず、フラットに会話を始められる。展示会リードへの架電で最もやってはいけないのは、「覚えてないです」と言われてシュンとなること。堂々と「大丈夫です」と流してから本題に入ろう。
技術の伝え方:「20年の実績」+「新しいトレンド」
本題に入るとき、2つの時間軸を使い分けるのが上手い。
「もともとEC向けのレコメンデーションツールを20年来作ってきまして、国内でナンバーワンのシェアを誇っているのですが」
まず過去の実績で信頼性を担保する。「20年」「国内No.1シェア」は、相手に「ちゃんとした会社なんだな」と思わせる材料だ。
続けて、最新トレンドに話を転換する。
「近年、Webサイトの初回訪問者が後々のコンバージョンにつながるケースが増えていることがわかりまして、AIと画像を組み合わせた新しいレコメンデーションサービスを開発提供し始めたんですね」
「老舗だけど新しいこともやっている」という二面性を出すことで、安定感と新しさの両方をアピールできる。
CVR1.5倍——数字は「一行で」伝える
EC事業者が最も反応する数字は**CVR(コンバージョン率)**だ。
「一人一人の顧客のニーズにアプローチができて、CVを1.5倍にアップさせることができるノウハウを取り入れた、最新のAI搭載型パーソナライズソリューションを新たに開発提供し始めております」
このフレーズで重要なのは、CVR1.5倍という数字を先に出して、技術の説明は後回しにしている点。
多くの技術系テレアポが犯す間違いは、技術の説明→効果の順で話すこと。でもEC事業者が知りたいのは「で、うちのCVRはどれくらい上がるの?」だ。結論を先に言って、技術は後で説明するほうが話を聞いてもらいやすい。
「One to Oneマーケティング」をかみ砕いて伝える
テレアポで技術用語をそのまま使うと伝わらないが、かといって専門用語を避けすぎると軽く見られる。バランスが大事だ。
「One to Oneマーケティングという、一人一人の顧客のニーズにアプローチができて」
専門用語+平易な説明をセットにする。「One to Oneマーケティング」と言った直後に「一人一人の顧客のニーズにアプローチ」と補足することで、用語を知っている相手にも知らない相手にも対応できる。
さらに噛み砕くと、こんな説明もある。
「100人に対して100通りの提案ができるAIパーソナライズサービス。ユーザー一人ひとりの顕在・潜在ニーズへのアプローチに大きな差が出ます」
「100人に100通り」——これはイメージしやすい。抽象的な「パーソナライズ」より、この表現のほうが相手の頭に入りやすい。
アポのクロージング:「今今すぐ導入ではなく」
EC事業者はツール導入に慎重だ。既存システムとの連携、コスト、ROIなど検討事項が多い。だからこそ、クロージングでは即決を求めない姿勢を明確にする。
「何か今すぐに導入をといったお話ではなかったのですが、御社のようなECサイトを運営されている競合他社様で大幅にCVを改善した例など、今後参考にご活用いただける事例が多数ありましたので」
「導入の話ではない」と言い切ったうえで、**「競合他社の事例」**をチラつかせる。EC事業者にとって、競合がどんなツールを使ってCVRを改善しているかは非常に気になる情報だ。この好奇心を利用してアポにつなげる。
「一度、ご挨拶かねて情報提供のお時間をオンラインで簡単に30分程度いただけたらと」
「ご挨拶かねて」「オンラインで簡単に」「30分程度」——ハードルを下げるフレーズを3つ重ねている。
月額5万円の「手ごろなパッケージ」を持っておく
テレアポの現場で意外と効くのが、廉価版プランの存在だ。
高額なAIツールの場合、「いくらくらいですか?」と聞かれて高い金額を出した瞬間に終わることがある。そこで「月額5万円の手ごろなパッケージもあります」と言えれば、検討のテーブルに残りやすい。
もちろん、テレアポの段階で価格交渉に入る必要はない。ただ、「手の届く価格帯もある」ということを頭の片隅に入れておくと、相手の予算感に合わせた提案がしやすくなる。
まとめ
- 展示会リードへの架電:「覚えていますか?」を軽いトーンで使い、会話の入り口を作る
- 実績の出し方:「20年の老舗+最新トレンド」の二面性で信頼と新しさを両立
- 数字は結論から:CVR1.5倍という効果を先に伝え、技術の説明は後回しにする
- 専門用語:用語+平易な説明をセットにして、どんな相手にも伝わるようにする
- クロージング:競合他社の事例を武器に、30分のオンライン情報提供に落とし込む
EC向けテレアポでは、技術そのものより**「その技術で御社のCVRがどう変わるか」**を伝える力が求められる。事例と数字を武器に、まずはオンライン商談の席を確保しよう。
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